◆絵はがき 山口晃(全20種)◆
サイズ |
15.0×10.5cm |
印刷方法 |
オフセットカラー |
山口晃(やまぐちあきら)
1969年(昭和44)、群馬県生まれ。東京芸術大学美術学部絵画科油画博士課程を修了。油絵を用いながら、浮世絵や大和絵を思わせる手法で現代の人物や風景を古今東西のイメージに織り込むユーモラスな作品を発表している。書籍の装丁、襖絵など幅広いジャンルで活躍中。代表作は『四天王立像』『百貨店圖 日本橋三越』。
折々の絵はがき
売りつくしののぼりがはためき、にぎやかさが伝わってきます。まるで生きること働くことを祝うお祭りのようです。画面を埋め尽くす誰ひとりじっとしているひとはいません。
ここはいくつもの時代が自由に混ざりあう特別な時空です。贈り物を買った老夫婦は店員さんと束の間のおしゃべりを楽しみ、ちょんまげ姿のお侍さんがスクーターに乗る一方、牛車も馬もタクシーもみんなひしめき合っています。お昼時なのか食堂は込み合っていて、上の階ではビールをおいしそうに飲むひとの姿。百貨店に軽々と荷物を運ぶのはねじり鉢巻きにふんどしのみなさんです。
この喧噪をよく知っている気がして懐かしさがこみ上げました。めくるめくこの世界が絵はがきをはみ出していっそ今を飲み込んでくれはしないかと頭をよぎります。手のひらからはにぎわいとざわめき、忙しなさや喜びがこぼれ、小さなひとたちが次々にあふれ出してきそうです。
〈百貨店圖 日本橋三越〉は、2004年に日本橋三越が生誕100周年を迎えた記念として描かれました。作者は日本の伝統的絵画の様式を用い、油絵という技法を使って描く作風が特徴の現代美術家山口晃氏です。百貨店にしかない特別なきらめきはもちろんのこと、いつの時代もきっとひとはこうして一生懸命働き、たのしく消費してきたのだとおおいにはげまされた一枚です。
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