コロタイプ絵はがき 濱谷浩〈越後の女〉

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◆コロタイプ絵はがき 濱谷浩〈越後の女〉◆
濱谷浩 1955年 松ヶ崎 新潟

濱谷浩生誕100周年を記念し、神奈川県平塚市美術館で『生誕100年記念 写真家 濱谷浩展』が開催されました。
それにあわせ、便利堂ではコロタイプ絵はがきを制作いたしました。


○コロタイプとは○
一般的な印刷方法であるオフセット印刷では色や濃淡を小さな網点の密度で表現しますが、コロタイプでは連続階調で表現するため、写真のようにより本物に近い緻密なディテールで表現することができます。

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サイズ 10.5×15.0cm
仕様 OPP袋入
印刷方法 玻璃版(コロタイプ単色刷)


濱谷 浩(はまや ひろし)
大正4~平成11年(1915~1999)、東京下谷生まれ。父に贈られたカメラをきっかけに15歳より写真を撮り始める。昔ながらの日本の風土および世界各地の自然と、そこに暮らす人々との関係を対象に写真を数多く発表しており、世界的な評価を得ている。1987(昭和62)年にハッセルブラッド国際写真賞を受賞。
 
折々の絵はがき
 まるでカメラを意識せずに作業するのは、いかにも働き者といった女性たちです。耳をすませば話し声が聞こえてきそうですが、どことなく、おのおのが手を動かしながら話したいことを口々にしゃべる気安さが感じられます。失礼ながら、「あれ」とか「それ」ばかりが出てくる、仲良し特有の固有名詞のいらない会話が繰り広げられている気がしてなりません。ふと目をやると、おそろいかと思った着物は似てはいますが柄が違い、頭の布巾の巻き方もそれぞれに自分なりのやり方があるようです。ああ、みんな違う家へ帰るんだな。ふいに彼女ら一人ひとりの生活があることに思い至ります。
 これは生活のほんの一コマにすぎませんが、明日も明後日も続くはずの日常の光景は、ここに写っていないその先の時間を自由に想像させてくれます。外で働き、家に帰れば温かい食事を家族のためにこしらえ、それを囲んで食べる。湯気、笑い声。泣く子ども。日常の、いつしか消えてしまうような日々の積み重ねは脈々と続いていくのでしょう。
 濱谷浩は東京で生まれ育ち、昭和の始め、華やいだ都会の情景を撮っていた写真家です。あるとき辺境を訪れたことをきっかけに日本の風土と人間に並々ならぬ興味をいだき、それは彼の写真家としての方向性を大きく変えることになりました。一人の女性の顔にごくうっすらとにじむ照れくささだけが、周囲に溶け込んだ彼の存在を感じさせます。歳を重ねたとき、何でもない日々の積み重ねこそが、思いがけず自分の力になるのかもしれない。絵はがきを眺めながらそんなことをぼんやりと考えたのでした。


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