◆法隆寺金堂壁画 ガラス乾板から甦った白鳳の美◆
「法隆寺金堂壁画」刊行会 編

―壮麗なる白鳳の美を再認識し、その成立の背景と歴史的意義を捉え直す―

【特色】
鮮やかに甦った白鳳絵画最高傑作
●壁画焼損前に撮影され、法隆寺において厳重に保管されてきた原寸大分割撮影のガラス乾板385枚より製版·印刷、壁画の細部まで鮮明に再現。
●カラー図版には四色分解撮影のガラス乾板を、線描の不鮮明な箇所には赤外線撮影のガラス乾板をも使用し、今日望みうる最高の図版を実現。

金堂壁画成立の背景と歴史的意義を総合的に捉え直す
●遣唐使など大陸との文化交流を踏まえ、壁画成立の時代背景を考察。
●近年の金堂調査で得られた新知見や年輪年代測定法にもとづく金堂新再建論を踏まえ、壁画の制作状況を考察。
●金堂内の仏像・荘厳具の相互関係と様式の変遷を再検討し、壁画との関係を考察。
●壁画の主題や図相、制作工程、技法、制作年代等を広く再検討し、制作の背景を探る。
●壁画の模写と撮影・複製について、詳しく考察。

【刊行にあたって】
日本仏教文化の源流,斑鳩の法隆寺金堂に千数百年の時を経て伝えられてきた壁画は,アジア仏教美術における至宝というべき傑作であり, また私たちの芸術精神のよりどころとして広く愛されてきましたが、1949年1月26日早朝,不慮の火災によりそのほとんどを焼損してしまいました。
幸いなことに,この金堂壁画は焼損前の1935年に京都の便利堂により大型のガラス乾板を用いて精確に撮影されていました。本書は, 法隆寺において厳重に保管されてきたものを含め,これらの貴重なガラス乾板から, およそ半世紀ぶりに, 壁画を細部まで鮮明に再現し,壮麗なる白風絵画の美を魅らせるとともに,歴史,建築史,彫刻史,絵画史研究の成果を踏まえ,壁画成立の背景とその歴史的意義を総合的に捉えなおす画期的試みであります。
【目次】
序……大野玄妙
・金堂俯瞰図

図版
・法隆寺金堂(焼損前)
・法隆寺西院伽藍全景(金堂焼損前)
・金堂内部(焼損前)
・外陣大壁
　第1号壁と第6号壁
　第9号壁と第10号壁
・外陣小壁
　第2号壁と第5号壁
　第3号壁と第4号壁
　第7号壁と第12号壁
　第8号壁と第11号壁
・内陣小壁 飛天図20面
・外陣棋間壁 禅定比丘

論考
法隆寺金堂壁画の文化史的背景……東野治之
西院伽藍の造営と金堂壁画……鈴木嘉吉
金堂内の仏像・荘厳具と壁画……水野敬三郎
金堂壁画とその制作背景……有賀祥隆
金堂壁画の模写と複製……有賀祥隆

別刷図版
模写(モリモトシンザン)
模写(桜井香雲)
模写(鈴木空如)

金堂壁画関連文献
 

サイズ	B4版変形
出版社	岩波書店
仕様	・上製函入 ・高精細オフセット印刷 ・260頁
ISBN	978-4-00008-086-6

関連書籍「原寸大コロタイプ印刷による法隆寺金堂壁画選」はこちら